医療費控除:確定申告での正しい計算と注意点【2024年版】

医療費控除
確定申告の時期が近づいてまいりました。

そこで、身近な『医療費控除』について私が過去に実際に申告してきた中で間違いが多いのではないかと感じてきた事や確認等が必要だと思う事をいくつかお話致します。


著者:兵頭税務会計事務所 清水佐知子

【1】医療費控除の計算方法

医療費控除は支払った金額から、補充する保険金等がある場合は、その金額を差し引いて計算する事になりますが
『実際に支払った医療費 - 補充する保険金等』
※これは、対象となる治療ごとの計算となります

具体的には、治療の為に入院し、その入院給付金を受け取った場合、入院給付金等が、実際に支払った医療費の額を超えていても他の病気の治療について支払った医療費から差し引く必要はありません。その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きます。

【2】保険金と医療費控除

同じく補充する保険金等が有る場合の注意事項ですが、支払った医療費は、その年分の実際に支払った金額になりますが(※未払の医療費は含めません)入院給付金、高額医療費等、それを補充する金額はその年の分を差し引くことになります

※つまり、受け取る予定の金額が有る場合、確定申告の際にまだ確定していない場合であっても、見積もった金額を差し引いて計算する事になります。後日、その確定額が、見積もった金額と異なった場合には、さかのぼってその時分の医療費控除の額を訂正しなければなりません。

【3】所得に基づく控除額

医療費控除は、10万円を差し引いて計算するので、支払った医療費の金額が年間10万円を超えた場合にしか出来ないとお考えになっている方が多いように感じますが 正確には、所得金額の5%を差し引いて計算し、その金額が10万円を超える場合は、10万円を差し引いた金額で計算する事になります。

※つまり所得の合計額が200万円までのかたは、差し引く金額が10万円より低い金額になりますので、お支払いになりました医療費が10万円を超えていなくても医療費控除が出来る場合があります

【4】医療費控除制度の変更と注意点

平成30年1月1日以後に提出する確定申告より会社の健康保険組合などが発行した『医療費のお知らせ』などにより医療費控除が受けらるようになりましたが、そこに記載されています医療費の内容は年の途中までのもので、その年12月31日までの一年分の記載はなく、また医療費控除の対象となるものであっても保険適用外のものは記載されていない場合もありますので医療費の計算をする際には、お手元の領収証などにより、確認が必要になってくると思います。