令和6年度税制改正の概要・・法人税⑴

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令和5年12月14日、自民党と公明党による「令和6年度税制改正大綱」が決定されました。

この大綱は令和5年12月22日の閣議で法律案として決定され、国会に提出されて審議されることになりました。

そして、衆議院と参議院の両方で可決されると法律として成立し、順調に進めば3月下旬に交付され、4月1日に施行されます。

ここでは、令和6年度税制改正のうち、法人税の改正について主な内容をお知らせします。

賃上げ促進税制(雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度)

この制度は、給与等の支給額が基準となる年度に比べて一定割合以上増加した場合に、一定要件の下に、増加した金額の10%から最大で45%だけ法人税額を軽減(但し、法人税額の20%が限度)する制度です。
雇用者給与等の支給額が前期比で1.5%以上増加した場合に、増加額の15%~45%を法人税額から控除できる(但し、法人税額の20%が限度)制度です。

令和6年4月1日以降に開始する年度から、その年度で控除し切れなかった金額は一定の要件の下に5年間の繰越しができることになります。        
継続雇用者給与等の支給額が前期比で3%以上増加した場合に、増加額の10%~35%を法人税額から控除できる(但し、法人税額の20%が限度)制度です。

令和6年4月1日以降に開始する年度から、継続雇用者給与等の支給額が4%以上増加した場合には増加額の25%から35%を法人税額から控除できる(但し、法人税額の20%が限度)こととなります。
継続雇用者給与等の支給額が前期比で3%以上増加した場合に、増加額の10%~35%を法人税額から控除できる(但し、法人税額の20%が限度)制度です。

適用のしかた

資本金1億円以下かつ従業員2,000人以下の青色申告法人
  ⑴と⑵の選択適用となります。
  ⑴の適用が有利な場合が多いと思いますが、算定の仕方が⑵と異なるため⑵が有利な場合もあり得ます。

資本金1億円以下かつ従業員が2,000人を超える青色申告法人
  ⑴と⑶の選択適用となります。
  ⑴の適用が有利な場合が多いと思いますが、算定の仕方が⑶と異なるため⑶が有利な場合もあり得ます。

資本金1億円を超えかつ従業員2,000人以下の青色申告法人
⑵と⑶は算定の仕方が同じため、⑵が有利です。

交際費から除外される飲食費

交際費等の範囲から除外される一定の飲食費が現在の1人当たり5,000円以下から1人当たり1万円以下に引き上げられます。
4月1日以後に支出する飲食費から適用されます。

適用要件は次のとおりです。
 ① 専ら役員、従業員、これらの者の親族に対する接待などのためでないこと
 ② 次の事項を記載した書類を保存していること
イ. 飲食のあった年月日
ロ. 飲食に参加した得意先などの氏名又は名称およびその関係
ハ. 飲食に参加した者の数
ニ. 飲食に要した費用の額、飲食店等の名称および所在地
ホ. その他飲食に要した費用であることを明らかにするために必要な事項

特許権などを譲渡又は貸付けた場合の優遇税制の創設(イノベーションボックス税制)

令和6年4月1日以後に制作等した特許権又はAI関連技術を活用したプログラムの著作権で一定のものを、令和7年4月1日から令和14年3月31日までの間に開始する年度において、関連者でない内国法人等に譲渡又は関連者でない法人等に貸付けた場合には、次の①と②の金額のうちいずれか少ない金額の30%の金額を損金に算入できるようになります。

   ① 上記の特許権又は著作権の譲渡又は貸付けによる所得のうち一定の金額

   ② その年度の所得の金額