相続財産を譲渡した場合の相続税の経費算入(相続税の取得費加算)
著者:兵頭始税理士事務所 税理士 兵頭始
相続または遺贈によって財産を取得した方が、相続税の申告書の提出期限後3年以内に、「その相続または遺贈によって取得した財産を売却した場合には、支払った(又は支払うべき)相続税額のうち売却した財産の評価額に対応する金額を、
譲渡による所得(「譲渡所得」)を計算する上で経費とすることができます。
これを、「相続税の取得費加算」といいます。」
[例] 平成27年8月31日に被相続人が死亡した場合
相続税の申告書の提出期限 平成28年6月30日
3年を経過する日 平成31年6月30日
平成31年6月30日までに譲渡すれば、この規定の適用を受けることができます。
これを、「相続税の取得費加算」といいます。」
[例] 平成27年8月31日に被相続人が死亡した場合
相続税の申告書の提出期限 平成28年6月30日
3年を経過する日 平成31年6月30日
平成31年6月30日までに譲渡すれば、この規定の適用を受けることができます。
1、経費として取得費に加算される金額は、次の算式によって計算します。
[基本的な算式]
相続税額×譲渡した資産の価額(相続税の課税価に算入された金額)
相続税の課税価格(債務控除をする前の金額)
※平成26年12月31日までの相続によって取得した土地や借地権を譲渡した場合は、上記算式とは異なります。
上記算式の分子「譲渡した資産の価額」は、「相続または遺贈により取得した土地や借地権の価額の計額」となります。
つまり、譲渡した土地などだけでなく、譲渡しないで保有し続けている土地などに対応する相続税額も、譲渡した土地などの譲渡益を計算するうえで、「経費」として差し引くことができます。
[例] 平成26年12月31日に被相続人が死亡した場合
相続税額×譲渡した資産の価額(相続税の課税価に算入された金額)
相続税の課税価格(債務控除をする前の金額)
※平成26年12月31日までの相続によって取得した土地や借地権を譲渡した場合は、上記算式とは異なります。
上記算式の分子「譲渡した資産の価額」は、「相続または遺贈により取得した土地や借地権の価額の計額」となります。
つまり、譲渡した土地などだけでなく、譲渡しないで保有し続けている土地などに対応する相続税額も、譲渡した土地などの譲渡益を計算するうえで、「経費」として差し引くことができます。
[例] 平成26年12月31日に被相続人が死亡した場合
相続税の申告書の提出期限 平成27年10月31日
3年を経過する日 平成30年10月31日
平成30年10月31日までに譲渡すれば、この規定の適用を受けることができます。
2、この取扱を受けるための要件は次のとおりです。
相続または遺贈によって財産を取得したこと
その財産を取得した人に相続税が課税されていること
その財産を、相続開始があった日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること
3、この制度の対象となる財産
相続または遺贈により取得したすべての財産は、相続税の申告期限から3年以内に譲渡すれば、適用を受けることができます。
土地、借地権、建物、株式、ゴルフ会員権、貴金属、絵画、骨董品など、全ての財産について適用があります。
土地、借地権、建物、株式、ゴルフ会員権、貴金属、絵画、骨董品など、全ての財産について適用があります。
4、この規定の適用を受けるためには、その譲渡をした年分の所得税の確定申告書に、次の書類を添付することが必要です。
なお、この規定(相続税の取得費加算)を適用することによって、譲渡による税額がゼロになる場合であっても、確定申告書を提出することが必要です。
相続税の申告書の写し
相続税の申告書の写し
相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
「譲渡所得の内訳書(土地・建物用)」や「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」などの添付が必要です。
5、この制度の適用をしないで確定申告書を提出してしまった場合
譲渡した財産の譲渡所得に係る所得税の申告期限(譲渡した翌年の3月15日)から5年以内であれば、この制度を適用して計算した所得税額との差額の還付を請求することができます。
これを、「更正の請求」と言います。
なお、税務署に更正の請求をしてこれが認められた場合には、住民税も還付されます。
住民税の手続きは不要です。
これを、「更正の請求」と言います。
なお、税務署に更正の請求をしてこれが認められた場合には、住民税も還付されます。
住民税の手続きは不要です。