開発費や研究開発費は法人税の計算上、全額損金になるのですか?

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税理士 兵頭始 著者:兵頭始税理士事務所 税理士 兵頭始

結論

 「開発費」と「研究開発費」とは、全く意味が違います。

 開発費は、費用又は損失として経理する(これを「損金経理」といいます)ことにより、法人税の計算上、支出した年度で全額を損金とすることができます。

 研究開発費は、その性格や内容、研究開発の結果によって、単純な費用(期間費用)になったり、製造費用に算入されたりします。

開発費

 開発費の意味

会計でも税法でも、同じ定義です。
「開発費」は、単純な費用ではなく、「繰延資産」とされます。
「繰延資産」とは、支出した費用のうち、支出の効果が、支出した年度だけでなく翌年度以降に及ぶものなどをいいます。

会計(企業会計原則と関係諸法令の調整に関する連続意見書)
→現に営業活動を営んでいる企業が、新技術の採用、新資源の開発、新市場の開拓等の目的をもって支出した金額、ならびに、現に採用している経営組織の改善をおこなうために支出した金額等をいう。

法人税法(法人税法施行令第14条1項3号)
→新たな技術若しくは新たな経営組織の採用、資源の開発又は市場の開拓のために特別に支出する費用をいう。

 開発費の損金算入

税法上、開発費は任意償却の繰延資産とされています。
支出した開発費の金額のうち、法人が費用又は損失として経理した金額(損金経理した金額)が、法人税を計算する上で損金となります。(法人税法施行令第64条1項1号)

したがって、支出した年度で全額を費用又は損失として経理すれば、その全額が支出した年度の損金になります。
また、数年度に分けて、費用又は損失として経理すれば、数年度に分けて損金に算入されることになります。

研究開発費

 研究開発費の意味

会計と税法では、同一ではありません。
会計(研究開発費等に係る会計基準)
研究・・・新しい知識の発見を目的とした計画的な調査及び探究
開発・・・新しい製品・サービス・生産方法(以下「製品等」という)
についての計画若しくは設計又は既存の製品等を著しく改良するための計画若しくは設計として、研究の成果その他の知識を具体化すること。

法人税法(租税特別措置法42条の4第12項1号)「試験研究費」
※ 税法では、「研究開発費」という用語は使わず、これに概ね相当するものとして、「試験研究費」という用語を用いています。

製品の製造または技術の改良、考案もしくは発明にかかる試験研究のために要する費用

 研究開発費(試験研究費)の損金算入

税法では、「試験研究費」を3つに分類しています。

イ. 基礎研究
自然現象に関する実験等によって、法則を決定するための研究

ロ. 応用研究
基礎研究の成果を具体的な物質、方法等に応用して、工業化の資料を作成するための研究

ハ. 工業化研究
基礎研究及び応用研究を基礎として、製品化やシステム化のめどがついた製品等の工業化や量産化をするための研究

上記の3つに分類した試験研究のうち、イの「基礎研究」とロの「応用研究」のために要した費用は、発生年度の法人税の計算上、損金に算入されます。
また、ハの「工業化研究」に該当することが明らかでない費用も、損金に算入されます。

試験研究費のうち、ハの「工業化研究」に該当することが明らかなものだけが、製品等の製造原価の計算に算入され、製品原価(取得価額)の構成要素となります。